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劇場看板に命をかけた男たちがいた!「EIBAN中原社長」はそれを見て何想ふ

  • 2019.12.24
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看板が主役だった

 

伊藤盛興(もりおき)

熊本映画界でこの名前を知らない人はいなかった。

凡そ70年前の話である。

娯楽が映画しかなかったと言っても過言ではない1950年代、劇場の入り口にそびえ立つ看板は、街の花形だった。下の写真は「大劇映画館」。今は大劇パチンコ下通り店。

今と違い大判印刷などできないので、もちろん全て手描き。

映画の予告編など気軽に観れる時代ではない、ということは映画好きは劇場に行き看板を見て、これは面白そうだ!と想像し映画館の門を潜る。

封切当時の「キングコング」の看板。キングコングの股の下を潜り映画館に入るのだ、子供からすればお化け屋敷に入るくらいの恐ろしさがあったと思う。

全長8m。

劇場に入る前から、キングコングへの期待は否が応にも上がりまくる。

映画の中では「あの看板」が動き出すのだから。

 

再び言うが、手描きである。

配給会社から送ってきたチラシを元に、なん10倍の大きさに拡大し描く。

頭の中はどうなってるんだ。

1937年公開の西部劇「平原児」の看板と下に並ぶ職人たち。躍動感ある馬の絵は、ド迫力だったに違いない。

その肉感には「命」というか「職人の魂」が感じられる。

同時に「映画愛」が写真から溢れ出ている。

 

受け継がれるその意志

 

同じ看板という仕事をしているこの人「EIBAN中原社長」は、写真を見て何を思う。

写真へ向けられる眼差しは、先達の偉業へ対する敬意と驚きに満ちている。

感想を聞いてみたい…しかし、今は話しかけられる雰囲気ではない。

全ての写真に目を通したようだ。

伊藤「感想をお伺いすることはできますか?」

少し間。

中原社長「私も映画が大好きでしてね。1度映画に関するお仕事させていただいたことがあるんですよ」

伊藤「作品は?」

中原社長「007です。それはそれは嬉しかったですよ。一つ夢が叶ったような…だってね、だってね…」

少し社長の目が潤んでるように見えた。

少し震えた声で

「ポスターの元データをもらえるんっしゅよ!」

伊藤「え。」

社長!素直な気持ちなんだろうけど、なんかなんか軽くないっすか?こう思っちゃったよ

「じいちゃんの魂をバカにすんな!」

説明遅くなりましたが、冒頭紹介した「伊藤盛興」は今回のブログ記事著者:肥後ジャーナル伊藤の祖父である。

 

看板屋やろ?こんな話でいいの?

止まらない中原社長

中原社長「伊藤さんイトーさん、好きな映画10本発表してもいいですか?」

伊藤「ダメです」

中原社長「まず1本目!!」

伊藤「ダメです」

中原社長「じゃ5本」

伊藤「どうしてもなんですね」

中原社長「まず1本目!!!」

中原社長「バック・トゥー・ザ・フチャー!!!」

伊藤「フューチャーですね」

中原社長「これ、何回見ても面白い!さぁ次!!」

 

中原社長「スラムドック・ミリオネア!」

伊藤「ドッグですね」

中原社長「これ確か、彼女と初めて観に行った映画なんです!」

伊藤「内容が好きとかじゃな…

中原社長「このコーナーめっちゃたのし!!次!!」

(コーナー化した?)

中原社長「俺たちチップスター!!」

伊藤「ポップです、もしかして酒飲んできました?」

中原社長「これ、なんかのグループの誰かをモチーフにして、それをパロってるんすよ」

伊藤「すごい説明」

中原社長「次は…」

中原社長「イースタン・プロミス!!」

伊藤「お!ちゃんと言えた!」

中原社長「これが1番好きな映画なんです、ロシアンマフィアの話なんですが、ほんとに良く出来た映画なんです、伊藤さんにも是非観ていただきたいです」

伊藤「わかりました」

中原社長「以上です!」

伊藤「(4本かい)」

 

看板は顔

 

今日言いたいことは言いました!の笑顔。

いつも会うたびに、襟シャツにジャケットを着ている中原社長。

看板屋さん=作業服

なイメージですが、その服装の理由とは…?

中原社長「看板ってお店や会社の顔だと思うんです。僕らの仕事って、顔をベタベタ触る仕事なんですよ。だから、失礼のないように、身なりはちゃんとしてないとですね」

確かに一理。

作業服が悪いと言うわけではなく、中原社長なりのコダワリなのだ。

再び写真を手に取り。

大劇の写真を見て

中原社長「これ僕の目指すところなんです。看板って板に文字が書いてあるものではなく、店構え・壁色・玄関・ディスプレイ・照明など全てが看板なんです。なんです。だから、ファーストビューでグッと惹きつけるような、外観のトータルプロデュースをしたいんです。伊藤さんのおじいさんの看板は、それが完璧に出来上がってます。」

あ。

さっきと違う人みたい。(失礼)

去り際に

「勉強させてもらいました、ありがとうございます」

と謙虚な一言をいただきました。

職人の心意気みたいなものが活きづく会社EIBAN。

 

 

 

肝心なEIBANの看板は…

この笑顔。

共に

映画の話をしよう。

 

 

 

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